大塚家具の経営権をめぐるお家騒動が泥沼の様相をみせている。創業家の父娘が繰り広げる骨肉バトルは、株主を巻き込んでの第二幕へと発展することが必至だが、老舗の高級家具ブランドでいま何が起こっているのか。一連の騒動の裏側に迫る。, 「創業から46年。『高い、高い』といわれながらも良い物を販売し、ここまでやってきた。6年前に久美子氏に任せたとき、きちんと評価されるよう、商品開発や社員モチベーションなどを準備して交代したのにも関わらず、お客さまが満足する提案ができなかった。これまで信じてくれている大塚家具のお客さまは裏切れない。今回はお客さま、社員の家族、取引先にご迷惑をかけたが、何とか社長復帰してやらせていただきたい」, 「基本的なターゲットは変わっていない。本来はターゲットとしていたお客さまから(大塚家具は)自分たちが行く店だと認識されなくなっていた。それは実際よりも価格が高いものしかないんじゃないか、と誤解されていて、その認識のギャップが一番の問題だった。一番重要なのはお客さまからみてどうみえているか、その誤解を説いていくことが重要だ」. 以前「バーバリー」とライセンス契約をしていた三陽商会では、若者向けに「バーバリー・ブルーレーベル」を派生させて顧客のすそ野を広げました。, また、ワールドが展開する「TAKEO KIKUCHI」では、若者向けストリート路線の「TK」、TKからさらに派生した低価格カジュアル志向のストリートブランド「THE SHOP TK MIXPICE」など数多く派生ブランドが存在しています。, このように、派生ブランドをつくることは、もともとのブランドの価値を下げず、顧客を広げたり、いくつかの価格ゾーンを展開することができるため、アパレルではよく行われている手法です。, 企業として顧客に約束している「ブランド・プロミス」。これを変えたことで失敗してしまった例を紹介します。, 駅前に低価格のカフェが増えてきたことから、価格を下げ、回転率を高くしようとした。それによりこれまでの固定客が離れ、サイドメニューも出なくなったことにより顧客単価も下がり、売上が落ち込んだ。, アレルギーに配慮した料理などを展開していた店舗が、原料価格の高騰や提携農家との契約問題などで入荷ができず、農薬を使った材料を仕入れ、顧客にこれまでと同様「無農薬メニュー」として提供していた。内部告発によりその事実が発覚し、廃業に追い込まれた。, このように「ブランド・プロミス」を破ることは顧客離れを引き起こし、存続の危機をももたらす可能性があるのです。そのため、ブランドを変更する場合は十分に検討する必要があります。, 近年は消費者の嗜好や行動が多様化し、これまでのようなマスマーケティングでは対応しきれなくなっています。, そのため、売上をあげるためには多様化する消費者に合わせた様々な施策が必要となっています。, 今回の大塚家具の問題は、「A」か「B」かの選択に固執して、顧客を置き去りにしてしまった点にあるように思えます。, 「高級路線」も「カジュアル路線」も「ブランド・プロミス」を守れば、両方を展開し、多くの消費者が喜ぶものを提供できるはずです。, 大塚家具を支持するファンや、これからファンになりうる消費者のために、最善の道を探って、企業の成長につながることを切に願っています。, ブランディング講座に興味のある方はこちら 上場企業の大塚家具の経営権をめぐり、創業家の父娘が世間に恥をさらしてまで泥沼の争いを繰り広げる内紛劇をみていると、10年前に週刊誌上を賑わせた吉本の「お家騒動」と重なった。 老舗家具大手の大塚家具で、創業家父娘の対立が泥沼化している。創業者、大塚勝久会長の長女、久美子氏が1月、半年ぶりに社長に復帰すると、勝久氏を3月下旬の株主総会で解任することを今月13日に決定。これに対し、勝久氏は会社に対し自らの取締役再任と久美子氏の解任を求める株主提案を突きつけるなど、「やられたら、やりかえす」異常な事態となっている。, 市場からは「“お家騒動”による経営の混乱は上場企業にあるまじき行為」と指摘する声も出ており、イメージ悪化による顧客離れが危惧されている。, 上場企業の大塚家具の経営権をめぐり、創業家の父娘が世間に恥をさらしてまで泥沼の争いを繰り広げる内紛劇をみていると、10年前に週刊誌上を賑わせた吉本の「お家騒動」と重なった。, 騒動から10年たった今でも、吉本のブランドイメージが回復したとは言い難いことを考えれば、大塚家具の騒動も今後どちらが経営権を握るにせよ、大きな禍根になることは間違いない。, 吉本の場合、お家騒動から飛び火して所属芸人らのスキャンダルまでも週刊誌等のネタとなり、世間を騒がせた。ひとたび、マスコミの「標的」になれば、後は洗いざらいネタにされ、真偽のほどは別にしてそれが独り歩きする。10年前よりもインターネットやソーシャルが普及した今の時代なら、なおさらである。, 「確かな価値との出会い」を企業理念とする大塚家具だが、新旧経営者が価値観の違いをめぐって骨肉の争いを続けているのは皮肉以外の何物でもない。大塚家具はこれから顧客に対してどんな「価値」を提案するというのか。一度失墜した企業イメージを取り戻すのは、途方もなく難しい。(iRONNA編集長 白岩賢太), 大塚家具、父親会長の会見詳報「娘の社長復帰はクーデター」(SankeiBiz、2015.02.26), 大塚久美子社長会見詳報 「提訴は事実認識が間違い」(SankeiBiz、2015.02.26). 流行に終わらなかった「俺のイタリアン」が守る「鉄の法則」, ミシュラン星付き店顔負けの食材と料理人を駆使したイタリア料理が、3000円でおつりがくるくらいの値段で食べられる「俺のイタリアン」。不況真っ只中の2011年9月21日、新橋に1号店をオープンすると大き …, 【ブランディング事例】世界観の徹底で、ポップコーンに「情緒的価値」を付加させたポップコーンパパ【後編】, 前回のコラムではポップコーン専門店「ポップコーンパパ」を経営する株式会社Dreams(大阪府)が、どのようにしてブランド・アイデンティティを確立していったかを紹介しました。 今回は、ブランド・アイデン …. 企業のブランド資産活用を再確認 戦略フレーム「BSC」を使って資産利用を再検討 ~ ファミリーマートを事例に参照 ~, コロナに勝つための短期勝ち残り戦略フレーム「SCAMPER」 「選択と集中」ではなく「選択を増やすことに集中する」発想の転換 ~ 帝国航空でなくANAホールディングスを事例として ~, 「大戸屋」と「コロワイド」。あなたならどう分析する? ~内部資源分析手法を使って競合分析を試みる~, ユニクロ“エアリズムマスク”の社会貢献 ~CSRとCSVとバリューチェーンの関係性を知る~, コロナ時代でも変わらないブランドの核心 ~マーケティングコンセプトの歴史から「社会志向」の真の意味を読み解く~. お家騒動はもう5年前のこと 「大塚家具」(8186・JQ・東京都江東区)が経営方針を巡り父娘が経営権争いをし、結局、娘の大塚久美子氏が勝利して社長に復帰、父の勝久氏が会長を退任して大塚家具を追放されたのは2015年3月のことだった。 そして、2015年3月の株主総会で、約6割の株主の支持を受け、現社長の久美子氏に軍配が上がったというわけです。, その上で経営戦略を立て、どこの市場で戦うかといったマーケティング戦略を行います。さらに、自社の商品やサービスを差別化し、付加価値を付け、どのように顧客に浸透させていくかというブランド戦略を行うのです。, このようにブランド戦略は経営理念から一貫して派生していきます。ですから、ブランド戦略は経営戦略からブレてはいけないものなのです。, ここでいう「お客様」の概念が、マーケティング戦略において、前社長と現社長の間で違っていたのです。, マーケティング戦略は時代の変化や環境に応じて変わっていくものです。しかし、変えてはいけないものがあります。それは、企業が消費者に届けているメッセージの中で消費者に「約束していること」です。, これを「ブランド・プロミス」と呼びますが、大塚家具の「ブランド・プロミス」は一体何だったのでしょうか?, だったのではないでしょうか?少なくともこれまでの大塚家具から受けた「ブランド体験」からはそれを感じました。, ですから、時代の変化と共に消費者の「カジュアル路線」に合わせた展開をしたいのであれば、「高級大塚家具」の派生ブランドとして、別の「カジュアルootsuka furniture(仮)」を立ち上げるべきだったのです。, そして、そのカジュアル路線は決して「安かろう悪かろう」であってはなりません。「高品質なものを、求めやすい価格で提供」するものであってこそ、派生となるのです。, 派生ブランドとは、もともとあったブランドからテイストを残しつつ、ターゲットを変えて展開したい場合に行うものです。, 例えば、 大塚家具は創業者である大塚勝久氏が1969年に前身の大塚家具センターを埼玉県春日部で創業したのが始まりです。 1997年には大塚家具春日部ショールームという店舗面積10,772㎡を設立、事実上大塚家具は日本で有数の家具メーカーとして名を連ねました。 近い未来に大塚家具が倒産の可能性に陥るとは、この時一体誰が想像したでしょうか。 大塚家具は2015年に大塚久美子社長が父で創業者である勝久氏を会長退任に追い込んで以来、対立が続いている。 大塚家の事情を知る関係者たちは「父・勝久氏は娘の久美子社長が歩み寄ってくれれば、許したいのが本心ではないか」と口をそろえる。 ブランディング法人研修・コンサルティングに Copyright© 興味のある方はこちら, 闇営業問題の発覚以来、吉本興業が揺れています。 「闇営業」発覚~吉本興業・岡本昭彦社長会見【時系列まとめ】 https://www.oricon.co.jp/news/2140653/full/ Or …, 仕事に疲れて帰宅する際、「ビールが飲みたい!」と思ったら、真っ先に思い浮かぶブランドは何でしょうか。キリン一番搾りであったり、サッポロ黒ラベルであったり、アサヒスーパードライであったり…それは人によっ …, 「イノベーションのジレンマ」を「両利きの経営」で乗り切る~コダックVS富士フイルムの事例に学ぶ, 時として業界をリードする優秀な大企業が、革新的な技術を持った新興企業になすがままに敗れ去ることがあります。ハーバード・ビジネス・スクールのクリステンセン教授は、このことを「イノベーションのジレンマ」と …, ビジネスモデルは俺流ではない!? 大塚家具の経営が思わしく無くなってきたきっかけが、大塚家具の創業者・大塚勝久氏と久美子社長の親子ゲンカにあると言われています。, 2009年に社長に就任した久美子氏ですが、大塚家具がこれまで作り上げてきたブランドイメージを覆す施策を打ち出します。, 元々は「会員制」として大きく成長した大塚家具ですが、久美子氏は「1人でも入りやすく、見やすい、気楽に入れる店づくり」を提唱しました。, 経営方針の変更に不満を持った勝久氏は、2014年に久美子氏を解任、自身が社長に復帰します。, 勝久氏が復帰したことにより、久美子氏が主導してきたカジュアル路線の新業態店舗を全て閉鎖。, この内部紛争が原因なのか、大塚家具は営業赤字に転落します。このため経営方針を巡って取締役会は勝久氏側と久美子氏側の2波が対立する事態となります。, その後、2015年1月の取締役会で4対3の評決で久美子氏が社長復帰、勝久氏の社長退任が決議されました。, さらに3月の株主総会でも委任状争奪戦が行われた結果、最終的に久美子社長の地位が確定しました。, その後の大塚家具の没落はご存知の通りで、勝久氏が設立した「匠大塚」との競合もあり、2016年が15億円の赤字、2017年が72億、2018年が14億と3年連続の営業赤字を叩き出してしまいました。, そして、2019年ヤマダ電機との業務提携を発表することになります。しかし業務提携というもの、実際は大塚家具がヤマダ電機の子会社になると言うもの。株価は大きく下落し、経営責任を問う厳しい声も上がりました。, しかし、久美子社長はよりカジュアルな方向へと方針転換を目指しました。カジュアルな家具屋といえば「ニトリ」や「IKEA」が思い浮かびますが久美子社長はこの2社を意識していたように思われます。, しかし、入りやすくなったとは言えそこは「大塚家具」。ニトリやIKEAの客層が望む低価格の商品は置いておらず、入りやすいが価格は高いという状態になってしまいます。, 逆に元々の顧客だった富裕層は、ブランドイメージの失墜した大塚家具に見向きもしなくなってしまいます。, 久美子社長の辞任は、「過去の業績について責任を明確にしたい」と本人より辞任の申し出があったのことです。, 赤字続きの大塚家具ですが、ヤマダ電機の子会社化により「今期は通気赤字を見込むものの、前期に比べて大幅な改善が見られ、来期の黒字化に向けての道筋がつきつつある」としています。, 色々あった大塚家具ですが、ヤマダ電機の子会社化によって良い方向へ向かっているようです。, しかし、以前までの客層であった富裕層は戻ってこない気もしますが・・・。これからは新しい顧客の取り込みが必須になりそうです。, 次回のコメントで使用するためブラウザーに自分の名前、メールアドレス、サイトを保存する。, 伊藤詩織 vs 杉田水脈 Twitterの「いいね」を訴えた伊藤 何が問題なのか?. 2020 All Rights Reserved. BRANDINGLAB – ブランディングラボ , 昨今世間を賑わせている大塚家具のお家騒動。先日の株主総会では、株主は久美子社長を支持し、取りあえず一件落着となりました。今回は、このお家騒動を「ブランド」の切り口から見てみたいと思います。, 株式会社大塚家具は1969年(昭和44年)に大塚勝久氏が代表取締役として、桐箪笥販売店「大塚家具センター」を創業しました。, 1993年(平成5年)には、入店時に顧客名簿を作成し(=会員制の導入)、店員が顧客について回るという接客により“結婚後のまとめ買い”需要を取り込むことで成長しました。, その後、業績が悪化し、2009年に大塚勝久氏の娘である大塚久美子氏が社長に就任して、これまでの会員制を一新。, これにより10年以上減り続けてきた入店者数を増加に転じさせるなど、業績改善に一定の効果をもたらしました。, しかし、2014年7月、取締役会で久美子社長の解任を提案され、無役の取締役に降格。, 2015年1月28日の取締役会では、久美子氏の社長復帰・勝久の会長専任が決定されました。 大塚家具騒動で、一体誰が得をしたのか? 2016.03.30 2015年3月の株主総会で父と娘による経営権を巡る争いが衆目を集めた大塚家具。 ワイドショーでは、「情」に訴えた父と「理」を貫いた娘との論争ばかりが報じられたが、株主から経営者として久美子社長… Copyright © 2020 SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved. 大塚家具は、大塚久美子社長が12月1日付で辞任すると発表しました。 今後はヤマダホールディングス出身の三島恒夫会長が社長を兼任するのとのことです。 お家騒動で世間を騒がせた久美子社長ですが、ここにきて突然に辞任発表です。 いったい何があった 株式会社大塚家具は1969年(昭和44年)に大塚勝久氏が代表取締役として、桐箪笥販売店「大塚家具センター」を創業しました。 1993年(平成5年)には、入店時に顧客名簿を作成し(=会員制の導入)、店員が顧客について回るという接客により“結婚後のまとめ買い”需要を取り込むことで成長しました。