生まれは隅田川を越えた向島の近くの裏長屋。貧しい大工の娘で、十四人の兄弟のうち九番目の子として生まれる。
容姿は髪結いの弥吉の亡くなった娘にそっくりだったので、弥吉は朝霧の死亡で八津と共に号泣した。, 第四部・十六夜時雨の主人公。姐女郎は朝霧、妹女郎に茜、禿の宇津木(うつぎ)がいる。また妹分として三津という同郷の女郎がいる。本名はやえ。
『花宵道中』(はなよいどうちゅう)は、宮木あや子による日本の連作短編小説集作品。第5回(2006年度)女による女のためのR-18文学賞大賞・読者賞受賞の表題作含む5編を収録し2007年2月22日に新潮社より刊行、1編を加え2009年9月1日に新潮文庫より文庫化された。江戸時代末期の新吉原を舞台に遊女たちの叶わぬ切ない純愛を描いた官能小説。, 江戸吉原の小見世・山田屋が舞台。5部構成で、それぞれ主人公が異なる。最新号より、第6部「大門切手」の連載がスタートした。, 2009年より斉木久美子作画で『女性セブン』(小学館)で漫画化、2014年に表題作を原作として豊島圭介監督、安達祐実主演により映画化された[1]。, 斉木久美子により漫画化され『女性セブン』(小学館)に連載され、小学館フラワーコミックスαスペシャルより刊行、同社小学館文庫より2015年8月6日に文庫化された。全6巻。, 2014年11月8日公開。R15+指定作品。主演の安達祐実は、劇場版『家なき子』(1994年)以来20年ぶりの映画主演となる[1]。, 公開に先立ち、2014年8月21日よりカナダで開催される第38回モントリオール世界映画祭のワールド・グレイツ部門で上映され[2]、2回の上映共に客席はほぼ満員で、監督の豊島圭介は現地に赴き質疑応答も行った[3]。, 劇中で安達はオールヌードに初挑戦している[4]。また、その撮影シーンも収録されたこの映画の公式オフィシャルブック『安達祐実 秘花』も2014年9月22日に発売された[5]。, ただし、あまり美しさを自慢する方ではなく、弥吉(後述)に褒められても「そんなん 言われなれてます」と、喜びもしなかったほど。, 朝霧へ差し紙(遊女を呼び出す手紙。)を送った、吉田屋に朝霧の代わりに抱かれた。(※この当時、朝霧はまだ初見世前だったため), 「青花牡丹」で、霧里を「好みじゃなく愛想のない女」だと半次郎に明かし、彼を愕然とさせた。, http://www.hochi.co.jp/entertainment/20140829-OHT1T50243.html, http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/07/29/kiji/K20140729008650700.html, https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=花宵道中&oldid=79539246. 器量は霧里らに比べ劣るが、霧里に一通りの教養、芸をたたき込まれ、芸事に関して偉く長けており、前述の身体の件も相まって、新造の頃から人気は高かった。
代々、山田屋では桂山の筋でしか道中をさせてもらえない。, 第五部・雪紐観音の主人公。姐女郎は桂山。同期に茜がいる。
母は切見世(下級な見世)の女郎で、生まれも育ちも吉原。幼いころ母に折檻された痕が身体にあり、酒を飲んだり泣いたりして体温が高くなると、折檻の痕がまるで花のように桃色の斑点として浮かび上がるという珍しい身体を持っている。
そして霧里は嶋原遊郭に、東雲は叔母に引き取られる形になった。
姐女郎の朝霧の件で「自分は男に決して惚れない」と誓っていたが、三弥吉という髪結いに次第に心引かれ、ついに三弥吉と結ばれた夜、吉原を抜け出さないかと誘われる。
容姿は朝霧そっくりであり、八津が茜を拾った理由でもある。
2014年、映画化作品が公開された。主演は安達祐実
原作・宮木あや子、作画・斉木久美子による日本の漫画作品。江戸吉原の遊郭で起こる遊女たちの恋愛や生活を描いた物語である。元々は同名の小説作品であり、2006年に第5回R-18文学賞を受賞した。2009年から小学館発行の女性セブンにて、斉木久美子によりコミカライズされた。全6部構成であり、1部ごとで主人公が異なっている。2014年には第1部をベースにした物語を安達裕美主演で映画化した。 花宵道中(はなよいどうちゅう) 花宵道中は小説家・宮木あや子が2006年に、第5回女による女のためのr-18文学賞で大賞と読者賞を受賞し、12万部のベストセラーとなった。 花宵道中は江戸末期の新吉原を舞台に、花魁(おいらん)と青年との許されぬ恋を描いた小説。 亡くなった娘そっくりの朝霧をなにかと可愛がっていたため、朝霧が自害したときは娘を二度亡くしたと号泣した。
だが朝霧の自殺で山田屋からは遠のき、朝霧そっくりの茜の初見世で久しぶりに山田屋に登楼した。, 吉原へ向かう際に乗る猪牙(ちょき)という船の船頭。男前だが実は耳が聞こえない聾唖者。
最終的に水蓮と共に吉原から出て行った。, 八津の初客で馴染みだったが、長屋女郎(下級女郎)に見世替えしていたのを山田屋の遊女らに目撃される。その後八津を座敷に呼んだが一向に来ない八津の元へ来、山田屋に上がろうとしたところを桂山に阻止され、五文賎を投げつけられながら啖呵を吐かれ、他の遊女の罵声を浴びながら山田屋を後にした。
『花宵道中』(はなよいどうちゅう)は、宮木あや子による日本の連作短編小説集作品。第5回(2006年度)女による女のためのR-18文学賞大賞・読者賞受賞の表題作含む5編を収録し2007年2月22日に新潮社より刊行、1編を加え2009年9月1日に新潮文庫より文庫化された。江戸時代末期の新吉原を舞台に遊女たちの叶わぬ切ない純愛を描いた官能小説。 彼女の死は八津のみならず、緑や山田屋全員の心に大きな衝撃を与えた。, 第二部・薄羽蜉蝣の主人公。姐女郎は八津。同期に緑がいる。
ちなみに八津は全六部を通してもっとも登場回数の多いキャラ, 姐女郎は朝霧。八津と同郷の幼なじみで本当の妹のように親しかった。山田屋に来てからもそれは変わらず、「八津姉さん」と八津を慕っている。本名はみや。
①江戸時代末期、吉原で女郎をする朝霧は、体温が上がると花びらの痣が浮き出ることで「花を咲かせる」と人気だった。年季明けを控えた朝霧は、半次郎と恋に落ちる。②朝霧と半次郎が惹かれあっていると気づいた、織物問屋の吉田屋が妨害。姉にひどいことをした吉田屋を半次郎は殺害して打ち首となり、朝霧もあとを追って自殺した。 宮木あや子による日本の小説作品。第5回(2006年)女による女のためのR-18文学賞受賞作。
実は八津の実の姉で、三津の父親にさらわれ吉原に売り飛ばされたのであった。
そんな弥吉に勝野は昔のように膝を貸した。
その後、祝儀を積んで山田屋に再登楼し、八津の馴染みに戻ったが、八津の心はすでに冷め切っていた。, 『花宵道中』(はなよいどうちゅう)は、宮木あや子による日本の小説作品。第5回(2006年)R-18文学賞受賞作。2009年より斉木久美子作画で『女性セブン』(小学館)で漫画化された。, 「感想」とどう付き合えばいい?趣味は1秒でも長く楽しんだ者が優勝/カレー沢薫の創作相談. ある日弥吉が山田屋にやってくる。どうしたのかと聞くと、娘が死んでしまったことを告白する。
弟子に吉衛門、三弥吉がいる。
そこで出会った、染色職人の阿部屋の半次郎という男。その男は朝霧の穿いていた下駄の鼻緒の青い牡丹を染めた張本人であった。
宮木 あや子『花宵道中』の感想・レビュー一覧です。電子書籍版の無料試し読みあり。ネタバレを含む感想・レビューは、ネタバレフィルターがあるので安心。 気っぷの良い、あっけらかんとした性格。容姿も桂山がいなければ看板女郎になっていただろうとは緑の見解。
髪結いの弥吉とは幼なじみで、いつか一緒になる約束をしていた。
宮木あや子による日本の小説作品。第5回(2006年)女による女のためのR-18文学賞受賞作。 江戸吉原遊郭の小見世・山田屋が舞台。5部プラス1部計6部構成で、それぞれ主人公が異なる。 2014年、映画化作品が公開された。主演は安達祐実 斉木久美子氏により小学館から全六巻コミカライズされ、原作にはないオリジナル描写も多い。 第六部・大門切手編では、年季明けし、男に裏切られて再び山田屋に戻ってきた。, 江利弥の妹女郎。弥吉の代わりに来た三弥吉に惚れており、そのせいで仕事に身が入らなくなり、客を中引け(営業時間終了時刻)前に帰らせたとして仕置き部屋に入れられた。, 姐女郎はいなく、身体の使えるところはどこでも使うという湯女のような仕事ぶりで人気がうなぎ登りの女郎。小見世ながら格式が失われるとのことで桂山は嫌っている。, 第六部・大門切手編の主人公。元・山田屋の遊女で、現在は女将として見世を切り盛りしている。本名はお勝。
上からの規制で花魁道中が出来ないまま初見世を迎え、ただ年季があけるよう黙々と仕事をこなしていたが、半次郎に出会い恋に陥る。
六部では引退し隠居の身の弥吉は、女房を亡くしたことを打ち明け、勝野に「川の向こうに戻らないか」とかつての約束を持ちかける。勝野は来年の盆にまた話そうと言い、漫画版の最期は弥吉と一緒に大門をくぐった。, 角海老楼の看板女郎。茶屋で船頭の平左と逢い引きを繰り返している。
ある日朝霧は、妹女郎の八津に連れられ八幡神宮の縁日に向かうが、途中で八津とはぐれてしまう。
このように桂山にしか話せないので、初見世が迫る中桂山は焦り、緑も努力はしていたが、茜や他の女郎とは話せない。
結構な伊達男だが、酒癖と女癖が酷く、滅多に家に寄りつかなかった。
奇しくもそれは、八津がまだ新造だったとき、お座敷遊びを心得ない不調者だった時分、朝霧に吐かれた啖呵と同じであった。(桂山いわく、いつかやってみたかったらしい)
タイトル 花宵道中 原作・漫画 宮木あや子 斉木久美子 出版社 小学館 どこにいても 何も変わらない 何も変わらぬはずだったーー 江戸時代後期… 江戸幕府公認の 遊郭「吉原」。 生まれも育ちも吉原の 主人公・朝霧(あさぎり)は ある日 半次郎と名乗る男と出会う。 それから度々二人は身体を重ね、愛を育んでいくが、三津の死により緑は茫然自失に陥り、自殺を考えるも、三津の生前の言葉を思い出し、彼女の分まで生きていくことを決意する。
気の強い性格で、桂山を敵視している。角海老楼に移りたいと常々口にする。
生まれは京の薄暗い裏長屋。母親は京宇治の裕福な家の箱入り娘の藤緒で、父親は庭師の芳之助。二人は半ば駆け落ちのように所帯を持ち、霧里が生まれるが、父親は殆ど家に帰らず女遊びに夢中になり、そのことで母は精神を病んでいった。
その後、吉田屋殺しとして指名手配されていた半次郎と再会し、半次郎の染めた着物で修復中の夜中の吉原で、念願の花魁道中を果たす。
実は父親は村の少女を密かに女衒に売り飛ばす、いわゆる“人さらい”を家業にしており、八津の姉の水蓮も三津の父親にさらわれ吉原に売り飛ばされていた。そのためずっと罪悪感を抱いており、死の間際そのことを八津に打ち明ける。
芳之助が酔って前後不覚の時、母が無理矢理に事におよんだ際に出来たのが東雲。芳之助はその事を覚えておらず、血が繋がっているにも関わらず東雲を自分の子だと認めず東雲には冷たく当たっていた。
生まれは北の方の貧しい小さな村で、十三の時に吉原に来た。無愛想だが張見世(女郎が顔見せするショーウインドウのような部屋)では前列にならない程度に人気がある。
原作宮木あや子、作画斉木久美子による日本の漫画作品。女性セブンにて2009年から連載された、江戸吉原での遊女たちの恋愛や生活、商売の様子を描いた作品である。斉木久美子の可愛らしくも艶やかな絵柄で描かれる遊女たちの物語は、読み進めるのが止まらなくなる独特の世界観を作っている。山田屋という中規模の女郎屋に在籍する遊女が主人公となり、1部ごとに主人公が変わっていく。, 原作・宮木あや子、作画・斉木久美子による日本の漫画作品。江戸吉原の遊郭で起こる遊女たちの恋愛や生活を描いた物語である。元々は同名の小説作品であり、2006年に第5回R-18文学賞を受賞した。2009年から小学館発行の女性セブンにて、斉木久美子によりコミカライズされた。全6部構成であり、1部ごとで主人公が異なっている。2014年には第1部をベースにした物語を安達裕美主演で映画化した。, 主人公の朝霧は、生まれも育ちも江戸の吉原。母親が死んで天涯孤独になったことで女郎屋である山田屋に引き取られた。夢も希望も持たずに毎日を過ごしていたある日、朝霧は半次郎と出会った。二人はかすかな恋心をお互いに持つが、あるとき朝霧の出向いたお座敷に半次郎が同席しており、彼の目の前で朝霧は馴染みの客である吉田屋に凌辱されてしまう。朝霧は嫌われてしまったと不安になるが半次郎は朝霧に惚れていることを告白し、二人は逢瀬を重ねていく。そんな折りに、朝霧に身請け(借金を肩代わりして見世を辞めさせること)の話が持ち上がると同時に吉田屋が殺されたという知らせが届き、しかもその事件の容疑者は半次郎であった。もう半次郎に二度と会えないと思い身請けの話を受けることを朝霧は決めるが、半次郎は自分で染めた道中(客が待つお茶屋に豪華な衣装を着て客を迎えに行くために路を練り歩く行事)のための豪華な衣装である仕掛けを持ってこっそり戻ってきた。憧れの花魁道中を二人だけで行った後日に二人は駆け落ちしたが逃げ切る前に捕まってしまい、朝霧は監禁され、半次郎は処刑されてしまった。絶望した朝霧は朝顔が咲くのは幸せなのかという問いを妹女郎の八津にしたあと、吉原を取り囲むおはぐろどぶに身投げしてその生涯を閉じた。, 主人公の茜は朝霧に顔がそっくりな新造(まだ初見世を迎えていない遊女見習いのこと)である。もうすぐ初めて遊女として客をとる初見世(新造だった遊女が初めて客をとる日の呼称)という時期だが、好きでもない男に抱かれるという事実が納得できないうえ、船頭の平左に片思いをしてしまった。そのことを姉女郎たちに言うと、もちろん諦めろの一言。自分は器量も良くないしという劣等感も相まってふてくされてしまった茜だが、ある日、平左を眺めるために行った先で他の店の売れっ子、水蓮が平左と恋人同士であることを知ってしまう。徐々に二人の仲睦まじい様子に憧れを抱いた茜は、余計に道中もできない自分がみじめになり、同期の緑が道中の日に平左と水蓮が逢瀬を重ねているお茶屋に向かった。そこには水蓮がおり、茜が自分の気持ちを伝えると自分たちの睦み合いを茜に見せて落ち込んでいる茜を優しく諭してくれた。見世に帰るともちろん叱られたが、八津が自分の初見世のために仕掛けを用意してくれたことを知り茜は自分が姉女郎に大事にされていることを実感した。初見世の客である唐島屋は茜を朝霧に重ねてではあるが優しく扱ってくれて、茜は女郎として年季(見世への借金を返す奉公)があけるまで働いていく第一歩を踏み出した。, 時代は朝霧の姉女郎、霧里が京島原で働いていたときにさかのぼる。霧里はその美しさから島原では評判の太夫であったが、客が霧里目当てに見世替えをしてしまうことを他の遊女に妬まれ、江戸の吉原に売られることが決定してしまう。霧里は唯一の身内である半次郎のたまの来訪と成長ぶりを心の支えにしており、半次郎もまた、幼いころから自分を守ってくれていた姉が大好きだった。母親が自殺し、父親が蒸発したときに陰間茶屋(男娼が所属している遊郭)に売られそうになった半次郎を自分が働くからと霧里は主張して、半次郎を養子に出したのだ。染物師として頭角を現していた半次郎は大店の絹問屋から縁談が来るほどの腕前になったが、縁談を断ったことで腕をつぶされ、あらぬ噂を流されて京都を離れることとなった。身を寄せた外国の布を扱う問屋の仕事として江戸に向かうことになり、愛しい姉に会えることを楽しみに旅立っていく。一方霧里は美形だが高飛車すぎるという評判のなか、なんとか売れっ子として山田屋で活躍していた。菊由という親友もでき、新造の朝霧の面倒を見ながらささやかな幸せを感じながら仕事をしていたが、朝霧の初見世が近いあるとき、吉田屋の座敷に呼ばれ吉田屋が自分の蒸発した父親であることに気づいてしまった。その後吉田屋は、半次郎に殺されるその日まで霧里が自分の娘であることにはついに気づかなかった。そんな折、菊由が結核に倒れてしまった。看病をしていた霧里自身も結核に感染してしまい、朝霧が独り立ちして立派になったことを見届けた後、半次郎が迎えに来てくれた幻を見ながらその生涯を閉じた。半次郎が行商のために江戸に着いたとき、霧里は既に亡くなっており彼は絶望する。何日も引きこもって泣き伏したのち、宿の主人に勧められて訪れた縁日で、朝霧と運命的な出会いをしたのだ。その後、仕事相手として対応していた吉田屋が自分の父親であることに気づいてしまう。霧里を抱いたうえ自分の娘だとかけらも気づかなかったこと、朝霧を目の前で凌辱されたことが重なって吉田屋を殺すという事件を起こしてしまった。京に逃げてそのまま命を絶とうとしていた半次郎だったが、朝霧のことを思い出し彼女を守りたいという思いから、朝霧との駆け落ちを決意した。, 朝霧の妹女郎である八津は、幼いころに口減らしのため吉原に売られた。数年後同じ村の三津も偶然吉原に売られてきたため、二人は毎日ごはんが食べられることに満足しながら山田屋で遊女として暮らしていた。八津は朝霧が男のために身投げしたこともあり、恋は身を亡ぼすことにしかならないと悟っていた。そのため、髪結いの三弥吉が美男であっても三弥吉に惚れてしまった同僚を冷めた目で見ていた。自分の懇意にしていた客が河岸女郎をつれて歩いていたのを見てショックを受けた八津を、何も言わずに三弥吉がそばにいてくれたときにもその決意は変わらない。そんなとき、客の一人から自分と同じ村の遊女を吉原で知っているかもという情報を貰う。それは大見世の売れっ子水蓮であり、しかも水蓮はひとさらいにあって行方不明だった八津の実の姉であった。なによりも恋人を選んだ姉を複雑な想いで見送った八津は、その後しばらくして三弥吉に想いを寄せられていることに気づき、自分も三弥吉のことを憎からず想っていることに気づいてしまった。八津を抱くために客として見世に揚がってくれた三弥吉は八津に駆け落ちを提案したが、八津は死んでいった遊女たちの分も生きて堂々と大門から外に出ていくという決意を打ち明ける。三弥吉は八津の気持ちを受け入れ、八津の年季が明けるまで自分も髪結いに通うことを誓った。, 桂山の妹女郎である緑は、その美しさと肌の白さから村では鬼の子扱いをされていた。母親が自殺したあと吉原に売られ、そこで周りから美しいと言われても以前の差別が忘れられず、桂山以外とは誰とも話ができない状態が続いていた。その状態のまま新造まできてしまった緑だが、三津の人懐こい人柄には安心して話せるようになっていった。しかし、ついに初見世も間近だというのに二人だけにしか話をしない緑を桂山は叱りつけてしまい緑は桂山とも話ができなくなってしまう。落ち込んだ緑が三津の部屋に行くと三津は優しく出迎えてくれ、二人は閨事のまねごとをしてお互いを慰め合った。実は三津の父親はひとさらいで生計を立てており、八津の実の姉をもさらって売り飛ばしたことを三津は八津に対して申し訳なく思っていた。そのため、三津のほうも人の温かさを求めていたのだ。桂山と三津に守られて、緑は徐々に他の遊女たちとも少しずつ話せるようになっていった。その間も三津との秘め事は続いており、緑は三津を心の支えにして仕事をしていたが、三津はもともと病弱だったこともあり体調を崩した末に衰弱して亡くなってしまう。三津は自分自身が忘れられることを恐れており、その事を知っていた緑は三津の分も生きて長い間三津を覚えていられるように、年季を終えて堂々と遊女を引退することを決意した。宣言通り緑は看板女郎として活躍したのち、身請けの話も断って新しい人生を踏み出した。, 山田屋は、中見世ながら吉原では中堅どころとして看板を守ってきた。その女将である勝野は元々山田屋に働く遊女で、吉原に来たいきさつは他の遊女たちと同じくお金のため。14人兄弟の9番目だった勝野は、ある程度大きくなると両親に人買いへ売られたのだ。幼馴染の弥吉とは遊女と髪結いという関係で会うことができ、勝野は幼いころに年季が明けたら一緒になろうという弥吉の言葉をかすかに心の支えにしていた。ついに年季が明けたが弥吉は既に所帯を持っていたため、勝野は行き所がなくなり吉原に戻ってきてしまった。遣り手として、女将としての仕事を学んでいく勝野は先代女将が引退を表明したことで正式に女将となる。見世のやりくりに天手古舞な勝野は、様々な遊女たちを受け入れ、見送っていくうちに年をとっていった。旧友の女将である白浜が引退したことで自分もそろそろ跡継ぎを捜しておかないといけないと思った矢先、弥吉から川の向こうに帰らないかと誘いを受けた。もちろん勝野は山田屋を引っ張っていかないといけないという使命感から悩むが、ちょうどその時、年季が明けて出ていったはずの江利耶が戻ってきたことで決心が固まり、1年後にお互い生きていたら一緒になろうという約束を交わした。, 第1部の主人公。山田屋の遊女で、本名はあさ。生まれも育ちも江戸吉原で、母親は鉄砲女郎だった。母親から折檻されたせいでキセルによる火傷のあとが体中に残っており、血行がよくなると火傷あとが花のように桃色に染まるためそれが遊女としての売りになっている。童顔で小柄なため、半次郎は最初子供だと勘違いしていた。姉女郎の霧里に京都島原の道中や芸を仕込まれていたが、お上からの規制により花魁道中はできなかった。遊女の仕事に対して夢も希望も感じずにこなしてきたが、半次郎に出会っておかみさんになるという希望を持つことができた。初見世の客は吉田屋であり、そのため席を断ることができない。, 第3部の主人公で、朝霧の姉女郎。美しすぎて他の遊女の客が霧里に乗り換えすぎるという理由で京都島原から江戸島原に売られて来た。眉目秀麗の才色兼備であり、吉原の作法には従わずに島原の作法を貫いた。半次郎の姉であり吉田屋の実の娘であるが、正体は自分から明かさなかった。子供時代は半次郎をいじめてはいたものの、いざとなると弟を自分を犠牲にしても守ろうとしていた。親友の菊由が結核で倒れた際に看病していたことが原因で感染してしまうが、死ぬ直前まで床に臥せることはなかった。理由は、朝霧が看病にきて感染してしまうことを恐れたからである。最期まで他人のことを守ろうとする性格がうかがえる。, 花宵道中(A Courtesan with Flowered Skin)のネタバレ解説まとめ. 『花宵道中』は、「女による女のためのr-18文学賞」で大賞と読者賞をダブル受賞し、コミックにもなった宮木あや子の同名小説の実写映画。人気遊女・朝霧が、運命を変える青年と出会う物語。遊女として強く生き、一途な恋をする遊女を安達祐実が演じる。 その後取引先の吉田屋に茶屋の座敷に誘われ、そこで朝霧と偶然再会する。
最期は息子である半次郎に刀で心臓を突かれ死亡。, 茜の初客。かつては朝霧の馴染み客で、朝霧の年季が明けたら彼女を引き取る予定だった。初老の人の良さそうな恰幅の良い男。
それから数日後吉田屋という常客の座敷に呼ばれる朝霧。そこには半次郎が相席していた。半次郎の前で吉田屋に乱暴に抱かれる朝霧。そして半次郎から簪を受け取ってしばらくたったある日、朝霧は半次郎が吉田屋を殺害したということを八津から聞くのであった……, 八津付きの新造(見習い遊女)、茜は初見世が迫っていた。だが茜は、同じ新造で姐女郎が看板女郎の桂山の緑と違い、道中はない。
吉原に売られてからは、過去の心の傷から人と上手く喋ることができなく、山田屋でも美貌の持ち主ながら浮いた存在だった。最初は桂山の姐女郎の椿山の禿だったが、しゃべらないことで下働きに格下げされていた。が、桂山だけには懐いていると知った女将は、桂山の初見世後、桂山付きの禿に戻した。
その様を見ていた女将に拾われ、霧里の新造として山田屋につく。とても小柄で、霧里は初めて会ったとき、十四の朝霧を九つか十の禿だと勘違いした。
折れた簪を直してやるという半次郎に朝霧は惹かれる。
生まれは江戸より南の村で、村の子供は皆日焼けして黒い中、緑は色白で大きな目を持って生まれた。その為白鬼と呼ばれ村八分にあい、母親も緑の容姿を「醜い」と言い、最期まで緑を抱く事なく崖に身投げして死んだ。
吉原の山田屋では、朝霧の姐女郎として彼女に一通りの芸事をたたき込む。そしてある日吉田屋藤衛門を名乗る男の座敷に呼ばれ、それが偶然江戸に逃げていた実の父だと知ってしまう。
水蓮とは初見世前の一件以来親しくなり、彼女が足抜けを企んでいることを知ると、姐女郎の八津にそれを止めるようお願いする。, 京・嶋原から江戸吉原の山田屋にまわされてきた絶世の美女。嶋原遊郭では大見世のきよみ屋の看板女郎であったが、その美しさのせで、揚屋で霧里に惚れた他の見世の客が、こっそりきよみ屋に通っていたことで、「客を奪う」と他の見世の女郎達から苦情が相次いでしまい、吉原の山田屋に見世替えさせられてしまう。
朝霧が初見世を迎えるまで、吉田屋は姐女郎の霧里の客になる。吉田屋と床入りしながらも、最後まで自分が実の娘だと明かさず、吉田屋も霧里のことを娘だと気づかなかった。
大見世の大木屋の菫太夫が怒りまくり上へ掛け合った結果、霧里はとうとう嶋原から江戸吉原に見世替えになってしまう。
そうしてやってきたのは吉原の小見世、山田屋。霧里は京で染色職人をしている弟の東雲(半次郎)の事を思いながら日々を暮らしていたが……, 姐女郎の朝霧の一件があってから、八津は決して恋をしないと心に決めていた。ある日、髪結いの弥吉が引退し、二番弟子の三弥吉という男が八津の髪を結いに来るようになる。妹女郎の三津の体調不良を心配しながらも、三弥吉に心引かれていく。そんな中、茜から角海老楼の水蓮が足抜けを試みようとしているのを聞く。さらに水蓮は、八津のことを知っているようで……?, 山田屋の看板女郎の桂山付きの新造、緑は美しい子だが、その生い立ちから桂山以外とはしゃべれない。初見世も迫り焦る桂山に、他にしゃべれそうな子はいないかと緑に聞くと、緑は三津の名を上げる。緑は、密かに三津に惹かれており……, 嘉永に元号が変わり五年が経った盆の日、山田屋の女将・勝野(かつの)は小見世の寄り合いに出る。そこで同じく小見世の萬華楼の笹川という年季明けした遊女と出会う。笹川は年季明け後、吉原に戻って萬華楼の遣り手として働いていた。いずれ自分も勝野のように見世をまかされるのを不安に思った笹川は、勝野にどうして吉原で一生を生きていくと決めたのかと聞く。勝野はかつて山田屋の遊女として働き、今に至った経緯を話す……, 第一部・花宵道中の主人公。姐女郎は霧里。妹女郎に八津と三津がいる。本名はあさ。